03 ピノ・ノアール

カベルネ・ソーヴィニオン種と並び赤ワイン原料葡萄の双璧と言われるピノ・ノワール種の特徴と個性を知って頂く事はとても大切です。

特徴はまずその色合いに現れ、カベルネ種に比べてはるかに明るく、薄く、透明感のある美しい赤です。

グラスを傾けてワインの縁を見ますと若いうちから微かに黄色味が感じられます。グラスに注いだ二つを3メートルくらい離れて見ましてもその違いは歴然としています。

香の特徴を分かりやすい言葉にすることにはいまだに大変難しさを感じています。葡萄のフルーツ香、繊細でありながら華麗で大輪を誇る花の香り、大根をゆでた時の香りなどがグラスに注いだらすぐ立ち上がり、外へ外へと広がります。カベルネ種に比べますと確かに、直接的に香りを主張している事を感じ取って下さい。 当然のことですがこの香りは高級品ほど持続し、グラスの底にほんの微かに残ったワインでも香りを放ち続けます。

味はまず例えようもない酸味の美しさと舌触りの滑らかさが特徴ですが、単一品種でありながら極めて複合的な味の豊かさを表現してくれる事にいつも感心します。渋さは抑えられ決して重いものではありません。 まったく素晴らしい葡萄です。ただ一つの辛さはピノ・ノワールは土地の選択や栽培がやや難しいのでしょうか。

アメリカなどのワイン新世界でも沢山の生産者がピノに挑戦し、かなりの成果をあげていることも事実で「良い物ができるようになったなあ」とつくづく感心することも多くなってきましたが(同価格帯での)ブルゴーニュ・ワインと比較してみますとブルゴーニュを選びたくなるのも今のところ事実です。

ここで急いで付け加えますが私の原料葡萄の品種から入っていくワイン・ガイドにはいずれもあまりの高級ワインを選ばないようになさって下さい。

高級ワインの事はおいおいお話いたしますが、高級ワインも原料葡萄がもともと持っている生の特徴や個性は勿論持っているのですよ。しかし高級ワインに仕上げる為に畑、栽培、醸造、熟成の過程に大変な創意と工夫が行われます結果、生の原料葡萄の特徴個性に人(人為)の個性が付加されるのです。

実はこの部分こそがワインの楽しみの広さと深さそのものなのですが、ぐっと我慢して頂いて比較的安価な3000円以内のワインで、早く原料そのものがもつ特徴と個性を把握して頂きたいと思うのです。

出来ればカベルネ・ソーヴィニオンとピノ・ノワールを同時に2つのグラスに注がれて、先ず目で外観を、それから鼻で香りを、最後に口に含まれて味を比べてみて下さい。1本を(つまり合わせて2本になりますが)代わりばんこに確かめられましたらその個性の差はお分かり頂けるとおもいます。 一晩で2本は飲みきれない方のためにまた付け加えます。まったくご心配はいりませんよ。コルク栓をなさって、冷蔵庫に保管なさって下さい。明日で大丈夫です。明後日でも大丈夫です。個性は変わりませんし、ひょっとしたら良い発見があるかもしれません。「一晩で飲みきるべし」は超高級ワインの場合です。

写真はヴォーヌ・ロマネ村の広場で当時まではまだサン・ヴァンサンのお祭りが行われていたのですね。