赤の勝ち抜き戦 03

第3回目の赤ワインの勝ち抜き戦は、2回勝ち抜きの「シャトー プジョー1998」に対し、スペインの「デエーサ グランハ1998」とカリフォルニアの「キュヴェソン ピノ・ノアール1997」を挑戦者に選んでみました。

テンプラニーリョの古木を使用して1998年初リリースのアレハンドロ フェルナンデスが造る「デエーサ グランハ1998」はふちに紫色を帯びた濃いルビー色の透明感のある美しいローウ゛を纏っていました。スパイスや乾いた心地よい木の香の奥には果実やバニラの甘い香があり、癒される感じです。確かで嫌みのない渋味は長期熟成を期待して十分ですが、飲み頃には少なくとも3年は待ちたいと感じました。

「キュヴェソン」は全体にオレンジ色を帯びて、輝きのある美しく濃いルビー色。ブラックチェリーや黒胡椒、すみれの花などピノ・ノアールの香りは確かめられますし、なにかしら逞しさと押しのつよさも感じられます。口に含みますとアルコール分の高さからでしょうか圧倒されるようなアタックがあり、果実味豊かでわずかな甘味と丸い酸味、こなれた渋味がバランスよく、どっしりとした存在感があります。

カルフォルニアのピノ・ノアールはこの10年くらい、冷涼なナパの南部一帯(ロス・カルネロス)に優れたものが多いことを体験致しております。キュヴェソンはもともとナパ谷の一番北の奥、逆にかなり気温の高い一帯と承知しておりましたが、一方で南部に広大な畑を確保したとかの話もありまして、期待も半ばの採用でしたがこれはなかなか立派なピノ・ノアールワインです。

生徒さん達は多数決ですんなりこのキュヴェソンを選ばれました。

確かに良いワインであり、他ならぬピノ・ノアールワインではあります。ただ私はピノ・ノアールに出会うと、ついついブルゴーニュの何処だろう、誰だろうと考えてしまうのです。と言いますよりはそれを考えることそのものを楽しんでしまうのです。当然とはいえキュヴェソンはブルゴーニュの何処とも、誰とも結びつきません。確かに立派だけど、確かにブルゴーニュではない。ピノ・ノアールに何を求めるのか。評価と好みとは必ずしも一致するとは限らないところがまたワインの広さや深さと言えるのかも知れません。

残念な「シャトー プジョー1998」には後3年ないし5年の時間を与えるべきなのでしょうか。

(写真はラベルに採用されたキュヴェソン社のステンドグラスだそうです)